TCFD提言に基づく開示

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への取り組み

近年、異常気象や災害による被害が甚大化しており、気候変動がお客さまや当行に与える影響は徐々に大きくなっています。大分銀行は、TCFD提言に賛同し、気候変動・環境問題への対応を強化するとともに、TCFD提言を踏まえたリスク・機会に関する情報開示の充実に努めてまいります。

※TCFD提言:
金融安定理事会が設立した「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」。企業の気候変動リスクおよび機会等の情報開示を推奨。

ガバナンス

  • 〇当行は、気候変動を含むサステナビリティに関する課題への取り組みを推進するため、取締役会においてサステナビリティ委員会およびサステナビリティ基本方針を制定しております。

  • 〇取締役会議長を委員長とするサステナビリティ委員会における提言をもとに、サステナビリティワーキンググループをはじめとする各執行機関において全行横断的な協議を行い、取締役会へ報告・付議を行う態勢としています。
    なお2022年度については、サステナビリティ委員会を2回開催し、それぞれ「マテリアリティ特定」に関する提言、および「気候変動への対応」に関する取り組み状況の報告と提言に関する議論を行っています。

  • 〇特に「気候変動」「人的資本・多様性」に関しては、当行の長期ビジョン「地域の持続可能性を高める価値創造カンパニー」実現のために優先すべき重要な課題である「マテリアリティ」の項目として、「気候変動への対応」「従業員エンゲージメントの向上」「多様性の尊重」と特定のうえ、取り組みを行っています。

<サステナビリティに関するガバナンス体制>

戦略

【リスク・機会】

  • 〇当行は、気候変動に関連して、以下の「リスク」と「機会」を認識しています。なお「リスク」については、顕在化の時期および事業への影響度を考慮のうえ、「特に重要なリスク」として認識したものです。

リスク・機会の種類
リスク 移行
リスク
信用リスク 脱炭素に関する諸規制の変化(税制の変更・法規制や取引先からの要請強化・業界における技術開発の変化等)による融資先の事業活動や財務への影響
評判リスク 環境に悪影響を及ぼす事業者やプロジェクトに対する投融資等による当行の評判の悪化
物理的リスク 信用リスク 自然災害が及ぼす融資先の資産への直接的な損害による、融資先の事業活動や財務への影響、および当行担保不動産への影響
オペレーショナル
リスク
自然災害や海面上昇が及ぼす当行資産への直接的な損害による復旧コストの発生
機会 資源の効率性 省資源化(ペーパーレス等)の推進や再生可能エネルギー活用による生産性向上およびコスト削減
製品・サービス 当行取引先の脱炭素関連の事業や設備投資に関する資金需要の増加
気候変動や自然災害に対する顧客の意識・行動変化に伴う、環境関連商品・サービスや保険商品の需要増加
評判 気候関連問題への適切な対応や積極的な開示による各ステークホルダーからの評価の向上

【シナリオ分析】

  • 〇当行においては気候変動がもたらす将来の与信関係費用の増加額を試算するため、「物理的リスク」に関するシナリオ分析を以下のとおり実施しております。

  • 〇今後もシナリオ分析の高度化により、気候変動関連リスクが当行の財務に与える影響の把握に努めてまいります。

物理的リスク
シナリオ IPCCの第5次報告書におけるRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)
分析対象 大分県内の事業性取引先
分析手法
    ①財務悪化の影響
  • ・河川洪水による取引先の事業停滞が財務に与える影響をハザードマップ分析をもとに推計し、その結果から与信関係費用の増加額を試算

  • ②担保毀損の影響

  • ・当行不動産担保物件(建物)の河川洪水被害による担保毀損額をハザードマップ分析をもとに推計し、その結果から与信関係費用の増加額を試算

分析結果 2050年までに追加で発生する与信関係費用 最大42億円
(うち財務悪化:38億円、担保毀損:4億円)

リスク管理

  • 〇当行は、気候変動に関するリスクが当行の事業運営や財務内容等に影響を及ぼすことを認識しており、統合的リスク管理態勢の枠組みにおいて、シナリオ分析等の実施により識別・評価をしています。今後もシナリオ分析の対象範囲の拡大および高度化に取り組んでまいります。

  • 〇気候変動に影響を与えるセクターへの投融資に関しては、「環境・社会に配慮した投融資方針」に則り適切に判断を行っています。

<環境・社会に配慮した投融資方針>

大分銀行グループは、国連の定めた持続可能な開発目標の趣旨等を踏まえ、地域経済を支える金融機関として環境・社会課題の解決に向けて積極的に取り組みます。投融資においては以下のとおり分野ごとの方針を明確にし、適切に対応いたします。

1. 積極的に取り組む分野

  • (1)再生可能エネルギー、脱炭素社会の実現、生物多様性保全等、環境問題の解決に資する事業

  • (2)持続可能な社会づくりに資する事業

2. 取り組みを原則行わない分野

  • (1)核兵器やクラスター弾など非人道的な兵器の開発・製造を行う事業

  • (2)人権侵害や違法伐採が認識されるパーム油農園開発事業

  • (3)新設の石炭火力発電事業

ただし、例外的に取り組みを検討していく場合は、国のエネルギー政策等を参考に個別案件ごとの背景や特性を勘案し、慎重に対応します。

指標と目標

(1)指標

  • 〇CO2排出量(SCOPE1・2)実績推移については、以下の通りです。

  • 〇2022年度のCO2排出量実績は、目標としている「2013年度対比60%以上の削減」を達成しております。

  • 〇今後も脱炭素社会に向けた取り組みをさらに加速させてまいります。また、SCOPE3についても実績の把握に向けて取り組んでまいります。

【CO2排出量推移】

2013年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
SCOPE1
(ガソリン、LPG、都市ガス)
1,121 790 799 850 931
SCOPE2
(電気)
8,960 3,724 3,671 3,075 3,770
合計 10,081 4,514 4,470 3,925 4,702
削減率
(2013年度比)
55.2% 55.7% 61.1% 54.1%

※CO2排出量の算定ついて

ガソリンにかかる排出量:車両燃料費および大分県ガソリン単価により算出
その他SCOPE1・2にかかる排出量:「省エネ法定期報告書」における排出量を採用

(2)目標

CO2排出量

カーボンニュートラル宣言

2050年までにカーボンニュートラル達成

CO2排出量削減目標

2026年度までに2013年度対比▲65%
【中期経営計画2024目標】

2030年度までに2013年度対比▲70%

SDGs投融資

SDGs投融資目標

2026年度までに2,500億円以上
(うち環境関連1,000億円)【中期経営計画2024目標】

2030年度までに5,000億円以上
(うち環境関連2,000億円)

2026年度までに2,500億円以上
(うち環境関連1,000億円)
【中期経営計画2024目標】

2030年度までに5,000億円以上
(うち環境関連2,000億円)

※2023年度からの累計実行額

SDGs投融資について

当行では、SDGsの趣旨等を踏まえた「環境・社会に配慮した投融資方針」に基づき、地域経済を支える金融機関として行う環境・社会課題の解決に資する投融資を「SDGs投融資」としています。さらに以下により「環境」「社会」関連に分けて集計を行っています。

環境:再生可能エネルギー、脱炭素社会の実現、生物多様性等、環境問題の解決に資する事業への投融資

社会:持続可能な社会づくりに資する事業への投融資

気候変動対応オペにかかる対象投融資に関する基準および適合性の判断のための具体的な手続きの開示

気候変動対応に資する投融資にかかる実績について

(2024年11月22日現在)